・中津市の新型コロナ電話相談窓口における『LINE AiCall』の役割
・音声応対AIサービス『LINE AiCall』とは?
・『LINE AiCall』今後の展望
●新型コロナウイルス感染症対策、『LINE AiCall』を活用した新しい取り組み
昨今、新型コロナウイルスの流行に伴い、厚生労働省による電話相談窓口(コールセンター)の設置や、各自治体で健康相談などの対応が行なわれています。LINEリサーチが行なった新型コロナウイルスに関する調査では、日本国内での感染について「不安に感じている」という人が8割を越えています。また、新型肺炎について「症状が出たら何をすればいいか/どこに行けばいいか」という情報を求めている人が半数を超える結果となっており、それらを解決するための対応策が急務となっています。
(参考資料:【LINEリサーチ】新型肺炎(新型コロナウィルス)に関する調査結果/日本全国の15歳〜69歳の男女5,233名を対象に実施)
一方、自治体の職員、医師、保健師、看護師のリソースや対応時間帯の限度、問い合わせ数の増加による回線混雑などの問題も懸念されており、自身の症状に不安を抱える方や、緊急性が高いと思われる症状の方(※1)が必要なサービスを受けられない状況も考えられます。
(※1)国が示した、医療機関に電話で相談するべき患者の目安に基づき判断。(参考資料:「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」(厚生労働省))
そのような中、大分県中津市では、市民を対象に受付専用ダイヤルによる「新型コロナ電話相談窓口」を設けています。限られた行政リソースを効率的に活用するため、また、多くの市民の方にご対応ができるよう、このたび当該窓口における応答サービスとして「LINE BRAIN」のAI技術を活用した音声応対AIサービス『LINE AiCall』が採用されました。
「LINE BRAIN」はLINEが法人向けに販売するAI製品(チャットボット・OCR・音声認識・音声合成・画像認識など)、およびソリューションの総称です。
『LINE AiCall』は、「LINE BRAIN」のAI技術である「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」(音声認識)と「LINE BRAIN TEXT TO SPEECH」(音声合成)、および会話制御の仕組みを組み合わせることで、ユーザーの要望に対してAIによる自然な対話応答を実現し、ユーザーの目的を達成するソリューションです。
お問い合わせに対してAIが応答することで、人が行う電話応対業務を大幅に軽減することができます。また、自治体などの限られた人的リソースで応対業務を行っている環境下では、『LINE AiCall』が応対業務を代行することで、職員は生産性や緊急性の高い業務に集中することができます。
『LINE AiCall』による新型コロナ電話相談窓口
国が示した「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」に基づくヒアリングを『LINE AiCall』が行う
大分県中津市の新型コロナ電話相談窓口における電話番号や接続回線などのTelephony Serviceについては、Twilio社( https://www.twilio.com/ja/company ) のクラウド・コミュニケーション・プラットフォームの無償提供を受けて中津市に提供しています。
●中津市の新型コロナ電話相談窓口における『LINE AiCall』の役割
中津市が行なっている新型コロナウイルス感染に関する電話相談窓口では、体調不良を訴える市民からの電話を受け、国が示した「医療機関に電話で相談するべき患者の目安」に基づくヒアリングを行い、その結果から保健師等が相談に対し、適切な対応を助言します。(参照:全体図)
全体図
【大分県中津市の新型コロナ電話相談窓口】
<窓口受付時間>
月曜日〜木曜日:24時間対応
金曜日:0時〜17時
土曜日:休み
日曜日:17時〜24時
※電話番号や受付時間等は変更になることがあります。詳細は中津市ホームページをご覧ください。
【注意事項】
・大分県中津市民を対象とした窓口となります。それ以外の地域にお住まいの方につきましては、お住まいの地域等、適切な相談窓口にご連絡ください。
・虚偽の回答はご遠慮ください。回答内容は国が示す「医療機関に電話で相談するべき患者の目安」の基準に基づき、対応の助言や相談を行います。
--『LINE AiCall』の役割
今回の取り組みにおける『LINE AiCall』の大きな役割は、人的リソースが限られる状況下において、人の対応や助言が必要な場面では『LINE AiCall』は介入せず、職員や医師の業務負担を減らす支援を行なうことです。症状がある方の一次受けを夜間に対応し、無数の問い合わせの中から本当にケアが必要な方に集中できる環境づくりを行なっています。
人が対応すべき業務とAIが代行できる業務を整理することで、中津市の自治体職員・医師・保健師・看護師等がより優先すべき業務に集中できる環境を作ることができます。また、夜間などの受付時間外の問い合わせにも応対できるため、市民の不安軽減に加えて行政サービスの利便性向上にも貢献しています。
- 人の対応が必要な場面:
・保健師等による「ヒアリング」
・『LINE AiCall』でヒアリングした内容を元に、保健師等により「ヒアリング結果の助言」
・ヒアリングした内容に基づく「次の助言」:医師による受診の要否判断のための助言、保健師等による経過観察の実施など - 『LINE AiCall』が対応する場面:
・夜間のヒアリング対応(翌朝保健師等が確認のうえ、問い合わせ者に適切な対応を助言)
・自宅待機をしている方の問い合わせに対する折り返しの電話対応
今回、緊急性の高い事案であることを踏まえ、約10日という短期間での開発(※2)をしながらも、幅広い層の利用を想定し、回答に迷わないようなシナリオの工夫や、話しかけスピードの調整を行っています。また、「LINE AiCall」の特徴であるなめらかな音声により、人と会話しているかのようなストレスフリーな体験で、市民にも安心してご利用いただけると考えています。
(※2)顧客要望によるチューニング期間を除く。
今回の対話エンジンは、シンプルなシナリオに最適で、短期間で開発可能なものを使用しています。下記の実証実験のように、カスタマイズを行うことでFAQ等、より複雑な会話に対応する対話エンジンもございます。
(参考記事:AI電話応対サービス「LINE AiCall」、本日より実用化に向けた実証実験を「俺のGrill&Bakery大手町」にて開始)
実証実験で行った『LINE AiCall』の対応の様子
●音声応対AIサービス『LINE AiCall』とは?
--『LINE AiCall』で実現できること
『LINE AiCall』は「LINE BRAIN」のAI技術である「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」(音声認識)、「LINE BRAIN TEXT TO SPEECH」(音声合成)、会話制御の仕組みを組み合わせ、なめらかで自然な会話を可能にした音声応対AIサービスです。
店舗やコールセンターを中心に、さまざまな分野で人が電話で応対している業務(購入・照会・予約・申込み・督促・在庫/納期確認など)を『LINE AiCall』が対応することで、電話業務の負担を軽減し、CX(カスタマーエクスペリエンス)向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を同時に実現します。
<見込まれる課題解決例>
- 労働人口の減少…コスト削減、業務効率化、リソースの確保(採用難への対策)
- 特定業界における人手不足…セールス機会の拡大(時間外や繁忙期でも柔軟に顧客対応が可能)
- 生活環境の変化…消費者の期待値向上(24時間365日オンデマンドでの対応を期待)
システム連携においては、フロントエンド部分にはSaaS型やオンプレミスの電話システム、ウェアラブルデバイスなどと連携しやすい環境を整えています。また、バックエンド部分では予約台帳システムやCRM、社内業務システム、他社API接続サービスとの連携により顧客管理や予約完了などを可能にしています。
『LINE AiCall』システムイメージ
--『LINE AiCall』の特徴。人間味あふれる自然な応対の仕組み
『LINE AiCall』の特徴は、LINEが開発したAI技術の組み合わせにより、人間味溢れる自然な応対を実現していることです。特にDialogue Control(会話制御)にはこだわっており、会話に遅れがないこと、またレスポンスのスピードを自然なテンポにすることで、ユーザーとの滑らかで自然な会話を可能にしています。
LINE AiCall全体図
<使用されているAI技術>
- 「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」(音声認識)
ディープラーニングを活用し、音響モデルと言語知識などのパターン認識技術を使い、人が話す言葉を文字に変換する技術です。スマートスピーカー『LINE Clova』で使用されている技術で、蓄積したコーパスや自然言語処理を活用しており、高い精度を実現しています。リアルタイム解析に特化しています。 - 「LINE BRAIN TEXT TO SPEECH」(音声合成)
DNN(※3)音声合成の技術により、人間らしい声の抑揚・表情、人間に近い肉声感を再現する技術です。
(※3)Deep Neural Networkの略。コンピュータで用いられる数値や計算式などを使って人間の脳機能を再現して作られたもの
また、結果を分析したいというニーズに応え、「LINE BRAIN TEXT ANALYTICS」との連携により、音声認識で起こしたテキストからの検索や感情分析などを将来的に提供予定です。
ユーザーとの会話自体はチャットボットなどでもできることですが、電話で人間らしい自然な会話ができるのは、『LINE AiCall』の特徴です。『LINE AiCall』は業務(タスク)達成型の音声対話AIであり、人間のように会話をしながら、単に問い合わせに応えるだけではなく、人間の代わりに業務(タスク)を完遂することが可能です。(例:レストランの予約を完了させるなど)
全体像としては、先述のSaaS型やオンプレミスの電話システム、ウェアラブルデバイスなどのCTI(※4)/PBX(※5)と連携し、『LINE AiCall』を通して、CRM/Booking databaseに接続されるため、顧客管理や予約完了などの業務(タスク)を完遂することが可能になります。
(※4)Computer Telephony Integrationの略。コンピューターと電話を統合した技術またはその技術を使ったシステム
(※5)Private Branch Exchangeの略。電話回線の交換機のことで、外線の接続を管理・制御したり内線同士を繋げるシステム
●『LINE AiCall』今後の展望
『LINE AiCall』は、こうした電話業務の負担を軽減し、限られた人的リソース下における業務の効率化を実現してまいります。飲食、コンタクトセンター、流通、金融、通信、製造業界などさまざまな分野において、電話の応対業務を効率化し、企業がお客様一人ひとりにより質の高いサービスを提供できるよう取り組んでいきます。
将来的には外部サービスとの連携はもちろん、LINE公式アカウントでの問い合わせ対応、お客様への予約事前確認の自動化など、さらに品質・精度の向上に努めます。特にLINE公式アカウントでの問い合わせ対応については、お客様からの要望も高いため、例えば電話で予約後にLINEにメッセージが送られ、予約情報を確認できるようなケースにも対応していきます。
電話業務の負担を軽減し、CX向上とDX推進を目指す方は、『LINE AiCall』導入をご検討の上、ぜひお気軽にお問い合わせください。