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【イベントレポート】Yahoo! JAPAN Hack Day 2021 Online/技術提供企業から見る、新たなOCRの可能性

イベントレポート

2021年3月に開催された、ハッカソンイベント「Yahoo! JAPAN Hack Day 2021 Online」のイベントレポートをご紹介します。

 

参加者側から語られることの多いハッカソンイベントですが、今回は技術提供側からの視点で振り返り、参加者が技術提供企業側に与えた価値や、OCRの新たな可能性をご紹介します。

また、参加者のLINE CLOVA賞を受賞されたチームへのインタビューもあわせてご紹介していますので、ぜひ一読ください。

Yahoo! JAPAN Hack Day 2021 Onlineとは?

 

Yahoo! JAPAN Hack Day 2021 Onlineは、「テクノロジーを、もっと身近に、もっと楽しく。」というテーマでオンラインで開催された、お祭りのようなハッカソンイベントです。出場登録チームはなんと80チーム!開発は2021/3/20(土) 12:00 〜 21(日) 12:00の24時間、プレゼンは各チーム90秒という形式で行われました。

 

2021/2/20(土)~3/19(金)が技術検証期間で、その翌日から作品開発を行い、開発が終了した30分後にプレゼンがスタートするというスケジュールで進行されました。今回はオンライン開催であったため、全国各地、海外からの参加チームも。表彰はプレゼンの約1週間後、3/27(土)に行われました。

 

>全体のイベントレポートについてはこちらをご覧ください。



ーー 今回提供された技術 ーー

LINE 株式会社からはLINEが独自に開発した「LINE Blockchain」が使える開発プラットフォームと、LINE CLOVAが提供する「CLOVA OCR」のGeneralタイプを提供しました。

technology

※提供技術の詳細はイベントページをご覧ください。

 

提供された技術の中では、技術的にも取り入れやすいNLU(自然言語理解)やGeneral OCRの利用率が高く、さまざまなシステムとAPIで連携可能なGeneral OCRは全体の37%のチーム、15作品に活用いただきました。



ーー 今回のAwards(賞) ーー

 

今回用意された賞は13つ。LINE CLOVA賞では、受賞者のチームへスマートスピーカー「CLOVA  Friends mini」を授与させていただきました。

Awards-1

 

 

そのうち今回クローズアップするのは、LINE CLOVA賞。以下の、3つのポイントを審査基準として設けました。

 

  1. 実際に世の中の課題にフォーカスしていること

  2. 課題の解決方法やOCRの活用方法の着眼点が新しいこと

  3. 利用者により良い体験を提供できるサービスであること

 

どの作品も趣向を凝らした作品でしたが、数ある作品の中からこの基準をクリアし、見事受賞されたのが、Hack ID:72/チーム「kb」のみなさんです。身近な誰でも抱える課題をテーマとし、誰でも気軽に使え、OCR技術を身近に触れることのできるアイデアが高く評価されました。



LINE CLOVA賞受賞チーム「kb」の皆さんにインタビュー! 

 

■『早起きは3MONのToken』は、どんな作品?

LINE CLOVA賞を受賞されたのは、『早起きは3MONのToken』 です。「早起きは三文の徳」ということわざは皆さんご存じかと思いますが、この作品はそれを実感できるアプリです。
hayaokiha-3mon-no-token

LINEアプリで友だち登録をして、メニューの「おやすみ」をタップするだけで目覚ましのアラームをセット。アラームが鳴り、LINEアプリ上に指定された文字を手書きすると、OCRが文字を読み込み、書かれた文字が正しいのか判断されます。正しく書ければアラームが解除され、最大3MONのMONトークン(仮想通貨)がもらえます。

さらに、目覚めた時間をグラフで表示し、就寝・起床時刻も記録できるため、健康の管理もできるというアプリです。

 

>「早起きは3MONのToken」の詳細はこちら

<全体構成>

slide-teamkb

チーム「kb」の技術紹介の発表資料より

 

技術的には、3つの技術が利用されています。

  ・CLOVA OCR:手書き文字の認識・解析

  ・LINE Blockchain:MONトークンの発行・付与

  ・ScalarDLT:起床時刻や就寝時刻などの管理。改ざん検知し、健康スコアとして記録。

 

> 作品のプレゼン動画はこちら

 

チーム「kb」のメンバーをご紹介!

・芝崎拓海さん(ハンドルネーム:avs)

 今回の役割:軽い企画と発表準備・発表、デプロイ周りを担当。普段はCyberagentでAbemaの広告配信周りを担当。

・上條忠久さん(ハンドルネーム:kamijin)

 今回の役割:Frontend・OCR実装を担当。普段はさくらインターネットでバックエンド・フロントエンドを担当。

・合路健人さん(ハンドルネーム:56)

 今回の役割:LINE BlockChain 実装と動作検証周りを担当。

teamkb-presentation

写真:チームリーダーの芝崎さん(ハンドルネーム:avs)

 

合路さん:芝崎さんと上條さんは学生時代から、僕と芝崎さんは前職でつながりがありました。エンジニア仲間で、集まって開催していた週次の勉強会でずっとつながりを持っていた3人です。今回のYahoo! JAPAN Hack Dayに参加したのは、前職でもYahoo! JAPAN Hack Dayに参加している人がいて面白そうだと感じていたこと、オンライン開催であったことがきっかけです。また、有償APIを触れることが大きな理由のひとつでした。

 

趣味の開発などでも有償のベンダー製品のインフラやマネージドサービスを用いる場合はありますが、基本的に業務でない限りはOSSのツールを用いるのが多いです。今回のハッカソンでは無料で各種提供されていたAPIを使えたため、通常選択肢に挙がりづらいAPIをツールとして利用する機会になり、貴重な経験や知見が得られると考えて参加を決めました。

 

---なぜCLOVA OCRを使おうと思ったのか?

 

芝崎さん:技術検証期間にAPIをいくつか試してみて、手書きの認識精度が高いとわかったことが大きかったです。今回はAPI提供されている技術が多く、それを使うことが受賞ポイントにもなるという認識もあり、APIを用いることは決めていました。ただ、APIの数を盛り込むことよりもプロダクトの完成度を高めたいという意見が一致していたので、色々と触ってみて、それが叶いそうだと感じたGeneral OCRとLINE Blockchainに絞って開発をしていきました。

 

色々とアイデア出しをした中で、目覚ましという案があり、目覚ましを使うのに何かユーザーにアクションを起こしてもらうことが大事だと思ったので、みんなが持っているタブレットやスマホ上で、何かアクションを起こしてもらうと便利ではないかと思い、アイデアを膨らましていきました。

 

ユーザビリティを考えると、画像を送るなど面倒なことはしたくなかったので、それであればすぐに書いてもらえる手書きだと、サービスとして利用してもらいやすいのではないかと思い、具体的に内容を決めていきました。

作品の実際の仕様書


---実装に当たって工夫されたことは?

 

上條さん:当初はアンドロイドアプリでの実装を考えていたのですが、1日での完成は厳しいという実感があり、Webアプリケーションで開発しようと思っていました。

合路さん:実は、開発当日にスタートしてから3~4時間経ったころ、LINE Blockchainのコンソールを触っていた時に、LIFF(※1)の存在に気づいたんです。それを使うと、LINEアプリからJavascriptで呼び出せることがわかり、CLOVA  OCRが使えるように、上條さんがいい感じに実装してくれました。

(※1) LIFF=LINE Front-end Frameworkの略。自作したWebアプリをLINEのトークルーム上で動作させるプラットフォームのこと。


上條さん:LIFFは、そのままwebアプリケーションで作ったもの移植できることもわかったので、LINEアプリ上で一連の処理を使えるように切り替えました。

LIFFを使っているヤマト運輸さんの再配達のような仕組みの存在は知っていたものの、契約しなければ使えないと思ってたので、気軽に一般ユーザーでもすぐに利用できることに驚きました。

画面遷移を作らなくてよく、文字でレスポンスするところだけを定義するだけでよいので、今回の作品ではWebアプリケーションに組み込むよりも工数削減にもなりましたし、趣味で作っているようなアプリを作るのにもとても良いと思いました。

 

---使ってみて感じたGeneral OCRの良さは?

 

芝崎さん:自分が使ったことのある他のOCRと比べ、手書きの認識精度は高かったと思います。
あとは、レスポンスがファイルとして出力するのではなく、APIでJson形式で返してくれるのは良かったと思います。

 

上條さん:今回の作品では、起きて手書きで文字を書き、それが瞬時に認識され、すぐに正誤判定ができるかどうかが重要だったので、手書き文字への対応・認識精度の良さ・レスポンスの高速さが欠かせませんでした。General OCRはそのすべてに対応していたので、とても使いやすかったです。

 

---受賞しての感想をお聞かせください。

 

芝崎さん:自分はアイデア出し部分を主に担当していたのですが、サービスとしての完成度が高められたのはよかったと思います。実際、僕らが作った作品と近しい仕組みのサービスを出している企業があり、単なるハッカソンの作品ではなく、サービスとして価値を生み出せ、それを評価いただいたことは非常に嬉しく思いました。

 

合路さん:テクノロジー賞を獲れたら嬉しいね、という話はしていたので、実際に獲得できたので良かったです。

 

上條さん:なかなか社会人になって仕事以外の分野で評価されることもなかったので、受賞できたことは嬉しく思っています。1〜2週間の努力が実ったことはよかったです。

 

 

審査員、イベント関係者が感じたOCRの新たな可能性

 

今回審査員、イベント関係者として参加したLINE株式会社の3名に、開発作品のアイデアに触れて新たに感じたOCRの可能性や、技術提供企業として参加した意義をインタビューしました。

 

LINE株式会社
・中島 邦弘 | AI企画室 画像&動画プロダクト企画チーム

・引間 明子 | AI事業推進室 DXコンサルティングチーム

・宋珠憲     | Developer Product 室 Technical Evangelismチーム

LINE-member

写真:審査員として参加した中島(左)と引間(右)

 

---OCRの新たな活用方法のアイデアをもらえた作品はありましたか?

 

中島:今回は15作品にGeneral OCRを使っていただいたのですが、OCRをゴールとせず、単なるツールとして使ってもらえたことが嬉しかったです。なぜなら、OCRは単なる「読み取り」だけでなく、他サービスと連携することで、さらに大きな価値を発揮できる技術だと改めて気づかせてもらえたからです。

 

例を挙げると、今回LINE CLOVA賞を受賞した『早起きは3MONのToken』は、手書き文字を認識させてアラームを止めるという作品でした。OCRは手書きを「読み取る」ものという発想にいきがちですが、デジタルで手書きを「読ませる」発想というのは、なかなか出てこないのではいかと思います。なので、デジタルでも手書き認識できるんだ!という驚きがありましたね。

 

飛躍はしますが、デジタルの手書きでも手書きの「確からしさ」が証明できるなら、セキュリティ面、本人確認の面などで活用する方法はたくさんあると感じます。

 

最優秀賞の『ネオネンガ』もトークン検出のために、OCRを使うという我々がまったく想定していない使い方でしたが、こちらも「読み取る」以外の方法を提示してくれました。

 

引間:また、『早起きは3MONのToken』は、課題感のアプローチでも気づきを与えてくれました。朝起きられないという、誰にでも訪れる課題感からのアプローチだったので、普段企業のみなさまに製品を活用いただいている我々にとっては、カスタマー向けにも活用できる可能性を感じられるいい機会でした。

 

ジュホン:他にも面白いアプローチだったのが、『Character』『テキストモンスター』など、OCRの読み取りを活用してゲームにしてくれた作品もありましたよね。これらの作品も、既存ビジネス以外の活用方法を提示してくれたので、技術提供側としても非常に実りあるハッカソンだったと思います。「OCRは難しい技術ではないけれど、アイデア次第で無限に活用の可能性がある」と証明してくれたように感じています。

 

 

エンジニアでなくても、とても参考になる「LINE API」のサイト


今回LINE CLOVA賞を受賞した「kb」チームなどが、開発時に参照いただいたLINE APIの情報は、以下のURLよりご覧いただけます。
LINE API:https://lineapiusecase.com/ja/top.html

LINE API

こちらのAPIサイトでは、Azure,、AWS を利用したシステム図とシーケンス図が公開されているため、処理フローや必要な要件が一目瞭然。さらに非エンジニアの方でも、APIを使うと何ができるのかがわかるデモアプリやユースケースが紹介されています。

 

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Topics: イベントレポート

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