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LINEが目指す「ひとにやさしい」AI と DXを組み合わせたニューノーマル時代のCX

2020年7月29日〜8月5日に、LINE株式会社(以下、LINE)の法人向けAI製品・ソリューションを紹介するカンファレンス「LINE AI DAY 〜LINEで実現するニューノーマル時代のCX〜」が、オンラインで開催されました。

始まりのKeynoteでは、LINE取締役CSMOの舛田淳とAIカンパニー/カンパニーCEOの砂金信一郎が登壇し、今後のDX活用における展望とLINEが目指すAI活用のビジョンについて語りました。また、ゲストスピーカーも登場し、LINEAI技術に対する期待について語りました。

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■Keynote

 

--Opening

【LINE株式会社
取締役 CSMO 舛田淳

LINEはコーポレートビジョンとして「Life on LINE」を掲げ、コミュニケーションを核にさまざまな取り組みを広げています。冒頭で舛田は、「人と人、人とコンテンツをつなぐLINE、さらには人とサービスや企業・お店など、さまざまなつながりを作っていくことがLINEが目指す「Life on LINE」である」と説明しました。

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また、「Life on LINE」を実現するにあたり、重要な役割を果たすのがDX(デジタルトランスフォーメーション)だといいます。「DXは単純なデジタル化やインターフェースではなく、その背後にあるプロセスや体制、慣習、ルールなどを変化させていくことによって成し遂げられる」とし、「DXはゴールではなく、あくまで手段である」と語りました。

さらに舛田は、DXの先にある「顧客の体験価値(CX)をどのようにつくっていくのかが重要である」と述べ、DXにおける人工知能(AI)とデータの重要性について言及しました。そして、この二つの要素を組み合わせ、CXをいかに高めていくかが今後の重要なポイントとなると語りました。

 

 

--Keynote

【LINE株式会社 執行役員
/AIカンパニーカンパニーCEO 砂金信一郎】

LINEのAI事業は、AI領域における研究・開発の発展により、「LINE BRAIN」という事業名のもと、昨年より法人向けにAI技術の提供を開始しました。

砂金からは、これまでの「LINE BRAIN」の歩みと、過去1年間で280社(のべ数)を超える企業がDX実現のため、LINEのAI技術を導入した、と紹介しました。

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また、これまでスマートスピーカーを製造・販売し、一般ユーザー様や企業様に提供する「LINE Clova」事業と、要素技術をAPIの形で企業様に提供する「LINE BRAIN」の2つの事業をそれぞれ単体で展開してきましたが、この度、LINEが保有するAI
技術を象徴する「LINE CLOVA」という一つのブランドに統合することを発表しました。

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LINEが目指すAIのビジョンについては、「人の仕事を奪う、または効率化を追求するといったものではなく、”ひとにやさしいAI”として、皆さんが日頃の業務や生活の中で感じている面倒くささや煩わしさをAIが肩代わりするような、そんな人に寄り添ったAIの実現をしていきたい」(砂金)と語っています。

 


--LINE
グループ内でAIを活用した戦略事業3社によるセッション

新型コロナウイルス感染症の拡大により、人と人との接触が制限される「新たな日常」が生まれつつある中で、デリバリー(宅配)や電子決済サービスなどには、ビジネスチャンスも生まれています。

Keynoteの後半では、LINEグループ内でAIを活用した戦略事業として推進している、出前館・LINE ヘルスケア・LINE Payの代表3名が登場し、AI活用の課題や今後の期待について語りました。

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【写真左から】LINE株式会社 砂金/株式会社出前館 代表取締役CEO 藤井英雄氏/
LINEヘルスケア 代表取締役社長 室山真一郎氏/LINE Pay株式会社 代表取締役社長CEO 長福久弘氏


---登壇者紹介---

【株式会社出前館 代表取締役CEO 藤井英雄】
日本最大級の出前プラットフォームを運営。加盟店舗数は約24,000店。LINEから300億円の出資を受け、LINEサービスとの連携を進めている。複数サービスを総合して飲食店全体をサポートする”フードマーケティングプラットフォーム”を目指している。

 

【LINEヘルスケア株式会社 代表取締役社長 室山真一郎】
2019年に医療者向けプラットフォーム最大手のエムスリー株式会社との合弁として設立。LINEの特性を活かしてユーザーと医療サービスの最適な距離を近づけることをミッションとしている。スマートフォンによる遠隔健康相談サービスを開始。オンライン診療についても鋭意サービスを準備中。

 

【LINE Pay株式会社 代表取締役社長CEO 長福久弘】
LINE上で、スマートフォン一台で決済や送金ができる「モバイルペイメントサービス」を展開。オンラインでの請求書の支払いや、銀行口座に直接送金できるサービスも提供している。


--パートナー企業が抱える事業の課題

【飲食店の課題/期待】
藤井氏は、飲食店経営者は店舗のデジタル化に課題を抱えていると明かしました。

要因として、現場の従業員のほとんどがパートやアルバイトであるため、デジタル化に簡易性が求められる一方で、業務全般の煩雑さにより一筋縄ではいかないところにデジタル化の難しさがあるといいます。

従業員はイートインのお客様を対応しながら、電話で来店予約やキャンセルの受付、店舗の場所についての問い合わせ、デリバリー注文の受付などを行わなければならないと、店舗の実状を説明しました。

出前館の藤井氏は、「(従業員はなるべくなら)店にかかってきた電話は外に流したい。そのため、(電話対応の負担を軽減する)『LINE AiCall』は一番相性がよく、ニーズもとても高い」と明かしました。

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【ヘルスケア業界の課題/期待】
LINEヘルスケアの室山氏は、メディカルな世界ではAIを活用できる領域がたくさんあるものの、ヘルスケアのような健康に不安を抱えるユーザーを対象とするtoC向けのサービスでは、ユーザーそれぞれの症状や悩みを解決するコミュニケーションが大事だと指摘しています。

一方で、ビジネス観点で見ると「コストや規模感という課題もあるため、人とのコミュニケーションは大事に残しつつ、大きくパターン分けできるものは、AIの力によって医療者の持っている医療サービスの価値を拡張し、より広くユーザーにお届けできる世界が作れると思っている」とし、AIカンパニーとの連携に期待感を示しました。

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【決済サービス業界の課題/期待】
LINE Payの長福氏は、スマートフォン1台でどこでも本人確認ができるLINE eKYCについて、「法規制をクリアしたうえでセキュリティは担保しつつ、ユーザーが簡単に使えるようなソリューションをどんどん提供していきたい」と、意気込みを語りました。

eKYCの技術については、LINEの注力領域の一つであり、LINE Payなどの決済領域に加えて、医療サービス(オンライン診断など)への応用も充分に可能であるといいます。

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LINEのAI技術は、今回の3社のようにLINEが社内で展開するOMO(Online Merges with Offline)事業の中で、AI技術を積極的に実践活用する中でAIが鍛えられ、より洗練されたAIソリューションを企業に提供できるといいます。

また、砂金は「より自然なユーザー体験に必要な要素技術に特化して、特に日本語での音声認識・音声合成・言語解析・OCRの領域などで基礎研究やAI技術を応用したプロダクトの開発を愚直に推進している」と、LINEのAI技術の現状について語りました。

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「ひたすら学習データをクレンジング(整理)し、それをAIに学習させ、
精度の改善をするという試行錯誤を繰り返し泥臭くやっている。
それを通じて実際の業務に使えるレベルまで、AIの精度を引き上げている」(砂金氏)

 

--開発中のプロダクト CLOVA Note

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日々爆速で進化をするLINEのAI技術。
今後アップデート予定の機能。(≠新しい製品)


砂金は、LINEの音声認識技術を活用して、会議の内容を議事録として自動で文字に書き起こすツール『CLOVA Note』を現在開発中であると紹介しました。同ツールの正式版リリースについては、年内に提供時期や価格などの詳細が発表できる予定だとしています。

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最後に砂金は、LINEのAI事業の差別化要因について、「実際に現場でどういった課題があり、エンドユーザーが何に困っているのかを把握したうえで、AI技術をよりよく応用し、AIの価値を実際の業務に落とし込む力を、我々は大事にしている」と説明し、その価値をより多くの方へ広めるべく、音声応対サービス『LINE AiCall』とオンライン本人確認『LINE eKYC』を展開していく、と語りました。

 


 

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■Closing

【LINE株式会社 AIカンパニー エグゼクティブCRO /AI事業推進室 室長 飯塚純也】 

最後のClosing sessionではLINEの飯塚が登壇し、企業がDXに取り組む際のポイントとして、以下の3つを挙げました。

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  1.  
  2. 1、ビジネスのデザイン
     今までのビジネスモデルを見直して、今持っているフレームを外し、新しいものに作り変えていく。
    2、テクノロジー
     各社のビジネスモデルに応じて、必要なテクノロジーは異なってくる。
     指数・関数的に成長していく拡張性のあるテクノロジーの検討をしていく。
    3、エクスペリエンス(体験)
     誰に体験を提供していくのかを明確にしていく。
     今まで点だった顧客や従業員による体験を、データにより線につないでいくことで、
  3.  ユーザー行動の相関・因果関係が明らかになっていく。
  4.  

この3つのポイントはそれぞれ独立しているわけではなく、全てがつながっていることが重要です。DX推進をお考えの企業は、今一度現状を振り返ってみる良い機会ではないでしょうか。

 

--AIを社会実装していくための課題

飯塚は、「LINEの法人向けAI事業はまだ始めて1年程度であり、この1年間でおよそ600社3,000名のビジネスパーソンと、AIやDXについて様々なディスカッションをしてきた」と話しています。

「AI白書2020」によりますと、実際にAI導入に踏み切った企業は、実証実験を含めて9%程度だといいます。企業の関心度は高いものの、実際に動いている企業は1割に満たないのが実状です。

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関心はあるものの、導入に踏み切れない企業には3つの課題があるといいます。

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AI導入を進めている企業と比べ、情報収集のみで結果何もしていない状態の企業が多く、まずはちいさな一歩を踏み出し、トライアルやPOCなど少しずつでも始めていくことが重要である、と指摘しました。また、昨今の不確実な情勢を乗り越えるためにも、意志を持ったシナリオプランニングを立てていくことが大事だと強調しました。

飯塚は最後に、『LINE AI DAY』の参加者へ感謝を述べるとともに、「多くの方にLINE CLOVAを活用して欲しい。我々も全力でサポートしていきたい。」と決意を述べ、セッションを締めくくりました。

 

 

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